中指の逆剥け

二日間の就活の最終日だった。DTPの仕事がしたくてこの短大に入ったが待っていたのは劣等感だけだった。もともと工業系の職業訓練校だったせいかデザインの求人は1番少ない。他学科と比べると桁違いに少ない。その中でもグラフィックデザインの求人は1割程度でもう絶望だ。しかも学校のデザインスキルも乏しいと思われてる(実際そうなのかもしれない)ので説明会でも重宝されず、書類でまず落とされる。私だったからかもしれないけど。しかしまあ、職業訓練校ではあるので時間やら規則やらを重視する企業は美大よりもこっちの方が...みたいな感じもある。いやまあそんなん書かなくていいか。

なんだかんだ私はどうしても働きたい。フリーランスになれるほどの才能もないし努力もできない。誰かの下で働きたいし、安定したい。「それならデザイン業界じゃなくても良くない?」なんて言われると思うが何のための地獄の2年間だったんだよと精神が廃れてしまうのである。

デザイナーはストイックであるべき、という風潮が嫌いだ。大嫌いだ。そんなもんアーティストじゃねえか。こっちは定時で返っては風呂入ってビール飲んで寝たいんだよ。何でストイックさを求める?雰囲気も悪いし楽しそうじゃないしデザイン事務所は嫌いだ。中小企業がいい。

最後の最後でいい会社を見つけた。ウェブの会社だがグラフィックデザインの仕事も多く請け負っているらしい。魅力的でいい会社だ。私にもったいないほど。

キャラデザが得意な友人に勧めた。私もそこに入りたいけど多分落ちるんだろう。縁起は最悪だが私のへなちょこデザインは魅力的に映らないそんな気がする。

彼女といると何だか気が滅入る。というか絵が上手いから劣等感が凄まじいのだ。漫画も描けてフォトショも使える。あんたのポートフォリオ見せれば一発で受かるだろうに。羨ましい。

喫煙所に行った。

「いい会社が見つかったんです。デザインも出来るしウェブの知識も1から教えてくれるし...」

「頑張ればなんとかなりそうかい。それは良かった。」

「彼女なら大丈夫ですよ。頑張る子ですから。」

お世辞だろうが飛び跳ねそうになったくらい嬉しかった。プロダクトの先生2人が、グラフィックの生徒を心配してくれたのだ。

 

「タバコ臭えぞって言われなかったか?」

「大丈夫ですよ。死ぬほどリセッシュしましたから」

 

2人は笑いながら一年生の授業へ戻って行った。